イエスが話された物語サンプル

イエスが話された物語

29日中 23日

第4話:タラント

聖書に出てくる「タラント」という印象深い話は、何世紀もの間、多くの人々の記憶に残ってきました。それは英語に新しい単語をひとつ増やしたほどです。ギリシャ語のタレントン(talenton)という言葉は、金や銀などの高価な金属の塊を表す単位でした。このたとえ話のおかげで、タレント(talent)という英単語は「個人が持っている才能」を意味するようになりました(日本ではタレントという言葉は、芸能活動をする人を指す用いられ方が一般的です。このたとえ話に出てくる使用人が運用した財産は明らかに主人から預かったものであった同様に、私たちの能力もまた、恵み深い神から預かったものです。

上司がいなくなる

ある人が「誰も見ていないときにどう振る舞うかによって、その人の本当の人格が分かる」と私に言ったことがあります。タラントというたとえ話によって、イエスは人間の存在の不思議を垣間見させてくださっています。イエスが「天の御国」という表現を使われたのは、「神は人々をこのように取扱います。人間の目指す目的地はここです。神はこのように人々を天国に集めてくださいます」ということをお示しになりたかったからです。

天の御国は、「しもべたちを呼んで、自分の財産を預け、旅に出て行く人のようです」(マタイの福音書 25章14節)。

この話の中の金持ちが神を表していることは、簡単にわかるでしょう。キリストを信じて罪をゆるされた人は、再び神のものとなり、神のために働く者となりました。

この初めの節は、私たちの中にある罪に対して二つの大きな戦いを挑んでいます。一つ目の戦いは、私たちが所有する全てのもの、つまりお金、家族、仕事や能力、社会、そして何よりも救い主キリストについての福音、これらすべては神からの贈り物だと認識することです。私たちの自己中心的な心は、これを全て自分の力で得たと思いたがります。しかし、私たちが自分の持つ全ての富について造り主に賛美と感謝を捧げることこそ、健全な心なのです。

二つ目の戦いとは、次の事実を心に刻むことです。神がこの世に「いない」ように見えるのは、決して神が弱いとか、私たちの世界に興味がないとか、老衰しているとか、死んでいるからではありません。実際のところ、神がご自身の所有物を人間に預けてくださるのは、人間に対する興味のしるしです。神は、人間がそれらを用いてどうするかについて、大きな関心をお持ちなのです。神はご自身のものを人間に託した後に姿を潜め、私たちが預かったもので何をするのかをワクワクしながらご覧になります。このたとえ話を読むと、神が私たちの行動に強い興味をお持ちだということがよく分かります。
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この読書プランについて

イエスが話された物語

イエスはしばしば、「たとえ」を使って話されました。この小冊子では、イエスが話された4つの有名なたとえ話を分かりやすく紹介します。

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