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ヒーローたち

31日中 9日

3.勇気
オネシモ

アメリカには、次のような国民的英雄がいます。フレデリック・ダグラス、ソジャーナ・トゥルース、ハリエット・タブマン。この人たちは奴隷状態から逃れ、奴隷制度廃止運動の熱心な活動家となりました。そして奴隷制度の犠牲になって苦しんでいる人々に奉仕する生活を送りました。

新約聖書時代のローマ帝国でも奴隷制度が広くはびこっていました。初期のキリスト教徒達の多くも奴隷だったことは驚くに値しません。その中にオネシモという男がいました。彼は仕えていた家から逃げ出し、ローマで監禁状態の使徒パウロの元にやってきました。オネシモは、キリストにある自由を説くパウロであれば、必ず彼をかくまってくれると確信していました。

ところがパウロは、そんなオネシモに、コロサイに住む主人のピレモンの元に戻るように言いました。「そのオネシモを、あなたのもとに送り返します。彼は私の心そのものです。私は、彼を私のところにとどめておき、福音のために獄中にいる間、あなたに代わって私のために仕えてもらいたいとも考えましたが...愛する兄弟としてです。特に私にとってそうですが、あなたにとってはなおさらのこと、肉においても主にあっても、そうではありませんか。」(ピレモンへの手紙 1章12,16節)。パウロが書いたこの短い手紙は、パウロにとってもオネシモにとっても犠牲を求める内容でした。でも、より大きな犠牲を払ったのは、元奴隷であったオネシモの方だったと言えます。彼は、自分の自由を放棄するかどうかを決めなくてはならなかったからです。

私が同じ立場だったら、つまりイエスのために自分の自由を手放すかと聞かれると、答えに困ります。ただ言えるのは、オネシモがパウロの判断を信頼する勇気を持ったことが素晴らしいということです。ここで、次の事も知っておいてください。50年後、スミルナに住むイグナチチオという人物が、エペソの司教オネシモについて言及した手紙を書いています。そう、「司教」オネシモです。これは忠実に神に仕えた奴隷への神からのご褒美なのかもしれません。
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この読書プランについて

ヒーローたち

この読み物シリーズでは、聖書に登場する数々の英雄のうち、ジェスキ牧師のお気に入りの人物を紹介しています。聖書には粗野で、人生に苦労している人々が神の役に立った話などが書かれています。こうした人たちの実例を知るのは、よい学びの機会となるでしょう。

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