わたしは改めて、太陽の下に行われる虐げのすべてを見た。 見よ、虐げられる人の涙を。 彼らを慰める者はない。 見よ、虐げる者の手にある力を。 彼らを慰める者はない。 既に死んだ人を、幸いだと言おう。更に生きて行かなければならない人よりは幸いだ。 いや、その両者よりも幸福なのは、生まれて来なかった者だ。太陽の下に起こる悪い業を見ていないのだから。 人間が才知を尽くして労苦するのは、仲間に対して競争心を燃やしているからだということも分かった。これまた空しく、風を追うようなことだ。 愚か者は手をつかねてその身を食いつぶす。 片手を満たして、憩いを得るのは 両手を満たして、なお労苦するよりも良い。 それは風を追うようなことだ。 わたしは改めて 太陽の下に空しいことがあるのを見た。 ひとりの男があった。友も息子も兄弟もない。 際限もなく労苦し、彼の目は富に飽くことがない。 「自分の魂に快いものを欠いてまで 誰のために労苦するのか」と思いもしない。 これまた空しく、不幸なことだ。 ひとりよりもふたりが良い。 共に労苦すれば、その報いは良い。 倒れれば、ひとりがその友を助け起こす。 倒れても起こしてくれる友のない人は不幸だ。 更に、ふたりで寝れば暖かいが ひとりでどうして暖まれようか。 ひとりが攻められれば、ふたりでこれに対する。 三つよりの糸は切れにくい。 貧しくても利口な少年の方が 老いて愚かになり 忠告を入れなくなった王よりも良い。 捕われの身分に生まれても王となる者があり 王家に生まれながら、卑しくなる者がある。
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