サムエル記上 2:1-29
ハンナは祈って言った、 「わたしの心は主によって喜び、 わたしの力は主によって強められた、 わたしの口は敵をあざ笑う、 あなたの救によってわたしは楽しむからである。 主のように聖なるものはない、 あなたのほかには、だれもない、 われわれの神のような岩はない。 あなたがたは重ねて高慢に語ってはならない、 たかぶりの言葉を口にすることをやめよ。 主はすべてを知る神であって、 もろもろのおこないは主によって量られる。 勇士の弓は折れ、 弱き者は力を帯びる。 飽き足りた者は食のために雇われ、 飢えたものは、もはや飢えることがない。 うまずめは七人の子を産み、 多くの子をもつ女は孤独となる。 主は殺し、また生かし、 陰府にくだし、また上げられる。 主は貧しくし、また富ませ、 低くし、また高くされる。 貧しい者を、ちりのなかから立ちあがらせ、 乏しい者を、あくたのなかから引き上げて、 王侯と共にすわらせ、 栄誉の位を継がせられる。 地の柱は主のものであって、 その柱の上に、世界をすえられたからである。 主はその聖徒たちの足を守られる、 しかし悪いものどもは暗黒のうちに滅びる。 人は力をもって勝つことができないからである。 主と争うものは粉々に砕かれるであろう、 主は彼らにむかって天から雷をとどろかし、 地のはてまでもさばき、 王に力を与え、 油そそがれた者の力を強くされるであろう」。 エルカナはラマにある家に帰ったが、幼な子は祭司エリの前にいて主に仕えた。 さて、エリの子らは、よこしまな人々で、主を恐れなかった。 民のささげ物についての祭司のならわしはこうである。人が犠牲をささげる時、その肉を煮る間に、祭司のしもべは、みつまたの肉刺しを手に持ってきて、 それをかま、またはなべ、またはおおがま、または鉢に突きいれ、肉刺しの引き上げるものは祭司がみな自分のものとした。彼らはシロで、そこに来るすべてのイスラエルの人に、このようにした。 人々が脂肪を焼く前にもまた、祭司のしもべがきて、犠牲をささげる人に言うのであった、「祭司のために焼く肉を与えよ。祭司はあなたから煮た肉を受けない。生の肉がよい」。 その人が、「まず脂肪を焼かせましょう。その後ほしいだけ取ってください」と言うと、しもべは、「いや、今もらいたい。くれないなら、わたしは力づくで、それを取ろう」と言う。 このように、その若者たちの罪は、主の前に非常に大きかった。この人々が主の供え物を軽んじたからである。 サムエルはまだ幼く、身に亜麻布のエポデを着けて、主の前に仕えていた。 母は彼のために小さい上着を作り、年ごとに、夫と共にその年の犠牲をささげるために上る時、それを持ってきた。 エリはいつもエルカナとその妻を祝福して言った、「この女が主にささげた者のかわりに、主がこの女によってあなたに子を与えられるように」。そして彼らはその家に帰るのを常とした。 こうして主がハンナを顧みられたので、ハンナはみごもって、三人の男の子とふたりの女の子を産んだ。わらべサムエルは主の前で育った。 エリはひじょうに年をとった。そしてその子らがイスラエルの人々にしたいろいろのことを聞き、また会見の幕屋の入口で勤めていた女たちと寝たことを聞いて、 彼らに言った、「なにゆえ、そのようなことをするのか。わたしはこのすべての民から、あなたがたの悪いおこないのことを聞く。 わが子らよ、それはいけない。わたしの聞く、主の民の言いふらしている風説は良くない。 もし人が人に対して罪を犯すならば、神が仲裁されるであろう。しかし人が主に対して罪を犯すならば、だれが、そのとりなしをすることができようか」。しかし彼らは父の言うことに耳を傾けようともしなかった。主が彼らを殺そうとされたからである。 わらべサムエルは育っていき、主にも、人々にも、ますます愛せられた。 このとき、ひとりの神の人が、エリのもとにきて言った、「主はかく仰せられる、『あなたの先祖の家がエジプトでパロの家の奴隷であったとき、わたしはその先祖の家に自らを現した。 そしてイスラエルのすべての部族のうちからそれを選び出して、わたしの祭司とし、わたしの祭壇に上って、香をたかせ、わたしの前でエポデを着けさせ、また、イスラエルの人々の火祭をことごとくあなたの先祖の家に与えた。 それにどうしてあなたがたは、わたしが命じた犠牲と供え物をむさぼりの目をもって見るのか。またなにゆえ、わたしよりも自分の子らを尊び、わたしの民イスラエルのささげるもろもろの供え物の、最も良き部分をもって自分を肥やすのか』。
サムエル記上 2:1-29