ルカによる福音書 5:1-39

ルカによる福音書 5:1-39 Japanese: 聖書 口語訳 (口語訳)

さて、群衆が神の言を聞こうとして押し寄せてきたとき、イエスはゲネサレ湖畔に立っておられたが、 そこに二そうの小舟が寄せてあるのをごらんになった。漁師たちは、舟からおりて網を洗っていた。 その一そうはシモンの舟であったが、イエスはそれに乗り込み、シモンに頼んで岸から少しこぎ出させ、そしてすわって、舟の中から群衆にお教えになった。 話がすむと、シモンに「沖へこぎ出し、網をおろして漁をしてみなさい」と言われた。 シモンは答えて言った、「先生、わたしたちは夜通し働きましたが、何も取れませんでした。しかし、お言葉ですから、網をおろしてみましょう」。 そしてそのとおりにしたところ、おびただしい魚の群れがはいって、網が破れそうになった。 そこで、もう一そうの舟にいた仲間に、加勢に来るよう合図をしたので、彼らがきて魚を両方の舟いっぱいに入れた。そのために、舟が沈みそうになった。 これを見てシモン・ペテロは、イエスのひざもとにひれ伏して言った、「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者です」。 彼も一緒にいた者たちもみな、取れた魚がおびただしいのに驚いたからである。 シモンの仲間であったゼベダイの子ヤコブとヨハネも、同様であった。すると、イエスがシモンに言われた、「恐れることはない。今からあなたは人間をとる漁師になるのだ」。 そこで彼らは舟を陸に引き上げ、いっさいを捨ててイエスに従った。 イエスがある町におられた時、全身重い皮膚病にかかった人がそこにいた。イエスを見ると、顔を地に伏せて願って言った、「主よ、みこころでしたら、きよめていただけるのですが」。 イエスは手を伸ばして彼にさわり、「そうしてあげよう、きよくなれ」と言われた。すると、重い皮膚病がただちに去ってしまった。 イエスは、だれにも話さないようにと彼に言い聞かせ、「ただ行って自分のからだを祭司に見せ、それからあなたのきよめのため、モーセが命じたとおりのささげ物をして、人々に証明しなさい」とお命じになった。 しかし、イエスの評判はますますひろまって行き、おびただしい群衆が、教を聞いたり、病気をなおしてもらったりするために、集まってきた。 しかしイエスは、寂しい所に退いて祈っておられた。 ある日のこと、イエスが教えておられると、ガリラヤやユダヤの方々の村から、またエルサレムからきたパリサイ人や律法学者たちが、そこにすわっていた。主の力が働いて、イエスは人々をいやされた。 その時、ある人々が、ひとりの中風をわずらっている人を床にのせたまま連れてきて、家の中に運び入れ、イエスの前に置こうとした。 ところが、群衆のためにどうしても運び入れる方法がなかったので、屋根にのぼり、瓦をはいで、病人を床ごと群衆のまん中につりおろして、イエスの前においた。 イエスは彼らの信仰を見て、「人よ、あなたの罪はゆるされた」と言われた。 すると律法学者とパリサイ人たちとは、「神を汚すことを言うこの人は、いったい、何者だ。神おひとりのほかに、だれが罪をゆるすことができるか」と言って論じはじめた。 イエスは彼らの論議を見ぬいて、「あなたがたは心の中で何を論じているのか。 あなたの罪はゆるされたと言うのと、起きて歩けと言うのと、どちらがたやすいか。 しかし、人の子は地上で罪をゆるす権威を持っていることが、あなたがたにわかるために」と彼らに対して言い、中風の者にむかって、「あなたに命じる。起きよ、床を取り上げて家に帰れ」と言われた。 すると病人は即座にみんなの前で起きあがり、寝ていた床を取りあげて、神をあがめながら家に帰って行った。 みんなの者は驚嘆してしまった。そして神をあがめ、おそれに満たされて、「きょうは驚くべきことを見た」と言った。 そののち、イエスが出て行かれると、レビという名の取税人が収税所にすわっているのを見て、「わたしに従ってきなさい」と言われた。 すると、彼はいっさいを捨てて立ちあがり、イエスに従ってきた。 それから、レビは自分の家で、イエスのために盛大な宴会を催したが、取税人やそのほか大ぜいの人々が、共に食卓に着いていた。 ところが、パリサイ人やその律法学者たちが、イエスの弟子たちに対してつぶやいて言った、「どうしてあなたがたは、取税人や罪人などと飲食を共にするのか」。 イエスは答えて言われた、「健康な人には医者はいらない。いるのは病人である。 わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるためである」。 また彼らはイエスに言った、「ヨハネの弟子たちは、しばしば断食をし、また祈をしており、パリサイ人の弟子たちもそうしているのに、あなたの弟子たちは食べたり飲んだりしています」。 するとイエスは言われた、「あなたがたは、花婿が一緒にいるのに、婚礼の客に断食をさせることができるであろうか。 しかし、花婿が奪い去られる日が来る。その日には断食をするであろう」。 それからイエスはまた一つの譬を語られた、「だれも、新しい着物から布ぎれを切り取って、古い着物につぎを当てるものはない。もしそんなことをしたら、新しい着物を裂くことになるし、新しいのから取った布ぎれも古いのに合わないであろう。 まただれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。もしそんなことをしたら、新しいぶどう酒は皮袋をはり裂き、そしてぶどう酒は流れ出るし、皮袋もむだになるであろう。 新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきである。 まただれも、古い酒を飲んでから、新しいのをほしがりはしない。『古いのが良い』と考えているからである」。

ルカによる福音書 5:1-39 Colloquial Japanese (1955) (JA1955)

さて、群衆が神の言を聞こうとして押し寄せてきたとき、イエスはゲネサレ湖畔に立っておられたが、 そこに二そうの小舟が寄せてあるのをごらんになった。漁師たちは、舟からおりて網を洗っていた。 その一そうはシモンの舟であったが、イエスはそれに乗り込み、シモンに頼んで岸から少しこぎ出させ、そしてすわって、舟の中から群衆にお教えになった。 話がすむと、シモンに「沖へこぎ出し、網をおろして漁をしてみなさい」と言われた。 シモンは答えて言った、「先生、わたしたちは夜通し働きましたが、何も取れませんでした。しかし、お言葉ですから、網をおろしてみましょう」。 そしてそのとおりにしたところ、おびただしい魚の群れがはいって、網が破れそうになった。 そこで、もう一そうの舟にいた仲間に、加勢に来るよう合図をしたので、彼らがきて魚を両方の舟いっぱいに入れた。そのために、舟が沈みそうになった。 これを見てシモン・ペテロは、イエスのひざもとにひれ伏して言った、「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者です」。 彼も一緒にいた者たちもみな、取れた魚がおびただしいのに驚いたからである。 シモンの仲間であったゼベダイの子ヤコブとヨハネも、同様であった。すると、イエスがシモンに言われた、「恐れることはない。今からあなたは人間をとる漁師になるのだ」。 そこで彼らは舟を陸に引き上げ、いっさいを捨ててイエスに従った。 イエスがある町におられた時、全身らい病になっている人がそこにいた。イエスを見ると、顔を地に伏せて願って言った、「主よ、みこころでしたら、きよめていただけるのですが」。 イエスは手を伸ばして彼にさわり、「そうしてあげよう、きよくなれ」と言われた。すると、らい病がただちに去ってしまった。 イエスは、だれにも話さないようにと彼に言い聞かせ、「ただ行って自分のからだを祭司に見せ、それからあなたのきよめのため、モーセが命じたとおりのささげ物をして、人々に証明しなさい」とお命じになった。 しかし、イエスの評判はますますひろまって行き、おびただしい群衆が、教を聞いたり、病気をなおしてもらったりするために、集まってきた。 しかしイエスは、寂しい所に退いて祈っておられた。 ある日のこと、イエスが教えておられると、ガリラヤやユダヤの方々の村から、またエルサレムからきたパリサイ人や律法学者たちが、そこにすわっていた。主の力が働いて、イエスは人々をいやされた。 その時、ある人々が、ひとりの中風をわずらっている人を床にのせたまま連れてきて、家の中に運び入れ、イエスの前に置こうとした。 ところが、群衆のためにどうしても運び入れる方法がなかったので、屋根にのぼり、瓦をはいで、病人を床ごと群衆のまん中につりおろして、イエスの前においた。 イエスは彼らの信仰を見て、「人よ、あなたの罪はゆるされた」と言われた。 すると律法学者とパリサイ人たちとは、「神を汚すことを言うこの人は、いったい、何者だ。神おひとりのほかに、だれが罪をゆるすことができるか」と言って論じはじめた。 イエスは彼らの論議を見ぬいて、「あなたがたは心の中で何を論じているのか。 あなたの罪はゆるされたと言うのと、起きて歩けと言うのと、どちらがたやすいか。 しかし、人の子は地上で罪をゆるす権威を持っていることが、あなたがたにわかるために」と彼らに対して言い、中風の者にむかって、「あなたに命じる。起きよ、床を取り上げて家に帰れ」と言われた。 すると病人は即座にみんなの前で起きあがり、寝ていた床を取りあげて、神をあがめながら家に帰って行った。 みんなの者は驚嘆してしまった。そして神をあがめ、おそれに満たされて、「きょうは驚くべきことを見た」と言った。 そののち、イエスが出て行かれると、レビという名の取税人が収税所にすわっているのを見て、「わたしに従ってきなさい」と言われた。 すると、彼はいっさいを捨てて立ちあがり、イエスに従ってきた。 それから、レビは自分の家で、イエスのために盛大な宴会を催したが、取税人やそのほか大ぜいの人々が、共に食卓に着いていた。 ところが、パリサイ人やその律法学者たちが、イエスの弟子たちに対してつぶやいて言った、「どうしてあなたがたは、取税人や罪人などと飲食を共にするのか」。 イエスは答えて言われた、「健康な人には医者はいらない。いるのは病人である。 わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるためである」。 また彼らはイエスに言った、「ヨハネの弟子たちは、しばしば断食をし、また祈をしており、パリサイ人の弟子たちもそうしているのに、あなたの弟子たちは食べたり飲んだりしています」。 するとイエスは言われた、「あなたがたは、花婿が一緒にいるのに、婚礼の客に断食をさせることができるであろうか。 しかし、花婿が奪い去られる日が来る。その日には断食をするであろう」。 それからイエスはまた一つの譬を語られた、「だれも、新しい着物から布ぎれを切り取って、古い着物につぎを当てるものはない。もしそんなことをしたら、新しい着物を裂くことになるし、新しいのから取った布ぎれも古いのに合わないであろう。 まただれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。もしそんなことをしたら、新しいぶどう酒は皮袋をはり裂き、そしてぶどう酒は流れ出るし、皮袋もむだになるであろう。 新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきである。 まただれも、古い酒を飲んでから、新しいのをほしがりはしない。『古いのが良い』と考えているからである」。

ルカによる福音書 5:1-39 リビングバイブル (JCB)

ある日、イエスがゲネサレ湖(ガリラヤ湖)のほとりで教えておられると、群衆が神のことばを聞こうと押し寄せました。 見ると、水ぎわの二そうの小舟のそばで、漁師たちが網を洗っています。イエスはそのうちの一そうに乗り込んで、持ち主のシモンに少しこぎ出してもらい、舟の中に座ったまま群衆に教えられました。 話が終わると、イエスはシモンに言われました。「さあ、もっと沖へこぎ出して、網をおろしてごらんなさい。」 「でも先生。私たちは夜通し一生懸命働きましたが、雑魚一匹とれなかったのです。でも、せっかくのおことばですから、もう一度やってみましょう。」 するとどうでしょう。今度は網が破れるほどたくさんの魚がとれたのです。 あまりに多くて、手がつけられません。大声で助けを求めました。仲間の舟が来ましたが、二そうとも魚でいっぱいになり、今にも沈みそうになりました。 シモン・ペテロは、あわててイエスの前にひれ伏し、「先生。どうぞ私みたいな者から離れてください。私は罪深い人間で、とてもおそばには寄れません」と叫びました。 あまりの大漁に、ペテロも仲間たちも恐ろしくなったからです。 仲間には、ゼベダイの息子のヤコブとヨハネもいました。イエスはシモンに、「こわがることはありません。あなたは今からは人間をとる漁師になるのです」と言われました。 岸へ上がると、彼らはすべてを捨てて、イエスに従いました。 イエスがある村におられた時のことです。そこに、ツァラアトに全身を冒された男がいました。彼はイエスを見るや、その前にひれ伏し、額を地面にこすりつけて頼みました。「主よ。お願いでございます。どうぞ私の体をもとどおりにしてください。お気持ちひとつで治るのですから。」 イエスは手を伸ばして男にさわり、「治してあげましょう。さあ、もう大丈夫です」と言われました。すると驚いたことに、ツァラアトはたちまち消え去り、あとかたもなくなったのです。 「このことをだれにも話してはいけません。すぐに祭司のところへ行って、体を調べてもらい、モーセの律法どおりのささげ物をしなさい。そうすれば、治ったことがみんなの前で証明されるのです。」しかし、 イエスのうわさはあっという間に広まり、多くの人が、教えを聞こう、病気を治してもらおうと集まって来ました。 しかしイエスは、何度も荒野に身を避け、祈っておられました。 ある日、イエスが教えておられると、パリサイ人(特におきてを守ることに熱心なユダヤ教の一派)と律法の専門家たちもそばに座っていました〔ガリラヤやユダヤの村々、またエルサレムから来た人たちです〕。イエスには、病気を治す神の力がありました。 その時、数人の人がやって来ました。見ると、中風(脳出血などによる半身不随、手足のまひ等の症状)の男を、それも床のままかついでいます。彼らは何とか群衆をかき分けてイエスのところへ行こうとしましたが、人が多くて、とても近づけたものではありません。しかたなく彼らは屋根にのぼり、天井に穴をあけ、病人をふとんごと、人々の真ん中に立っておられるイエスの目の前につり降ろしました。 イエスはこれほどまでの信仰を見て、病人に、「あなたの罪は赦されました」と宣言なさいました。 すると、「なんと罰あたりなことばだ! いったい自分をだれだと思ってるのか。明らかに神への冒瀆だ! 罪を赦すことなど、神にしかできないことなのに」と、パリサイ人や律法の専門家たちは、心の中で強く反発しました。 それを見抜いたイエスは、「なぜ、わたしのことばが神を汚すことになるのですか。 この人に、『あなたの罪は赦されました』と言うのと、『起きて歩きなさい』と言うのと、どちらがむずかしいですか。わたしは病気を治す力も、罪を赦す権威も持っているのです。それを証明してみせましょう」と言い、中風の男に、「さあ、起きなさい。床をたたんで、家に帰りなさい」とお命じになりました。 男はすぐにはね起き、床をたたむと、並み居る人をしり目に、神を賛美しながら帰って行きました。 居合わせた人たちは、みな恐れに満たされて、「不思議だ。まるで考えられないことだ」と幾度もくり返しては、神をほめたたえました。 このあと、イエスが町を出ようとされた時、一人の取税人が税金取立所に座っているのが見えました。その男の名はレビ(マタイ)と言いました。「さあ、ついて来て、わたしの弟子になりなさい。」 イエスの誘いに、レビは何もかも捨てて立ち上がり、あとに従いました。 まもなくレビは、家で、イエスのために盛大な歓迎会を催しました。取税人仲間をはじめ、大ぜいの人が招かれました。 ところが、パリサイ人や律法の専門家たちはこの光景を見て、弟子たちに激しい非難をあびせました。「あなたたちは、どうしてこんなくずのような連中といっしょに食事をするのか。」 イエスは、お答えになりました。「医者が必要なのは病人で、健康な人ではありません。 わたしは、自分を正しいと思う人を招くためではなく、罪人を招いて、罪を悔い改めさせるために来たのです。」 彼らも負けてはいません。今度は違った面から、詰め寄りました。「バプテスマのヨハネの弟子たちは、いつも断食して祈っている。パリサイ人の弟子たちも同様だ。なのに、あなたの弟子たちときたら、平気で飲み食いしている。そのわけを聞かせてもらいたい。」 イエスは言われました。「幸せな人が断食しますか。結婚披露宴で、花婿の招待客がお腹をすかせたままでいることがあるでしょうか。もちろん、ありえません。 しかし、花婿が彼らから引き離される日が来ます。その時こそ断食するのです。」 続いて、もう一つのたとえを話されました。「古い着物に継ぎを当てるのに、新しい着物から布切れを切り取る人がいるでしょうか。そんなことをしたら、新しい着物もだめになるし、古い着物も継ぎ目が破れて、結局どちらもだいなしです。 また、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れる人がいるでしょうか。そんなことをしたら、古い皮袋は新しいぶどう酒の圧力で張り裂け、ぶどう酒もこぼれてしまいます。 新しいぶどう酒は、新しい皮袋に入れるものです。 こうも言えます。だれでも古いぶどう酒を飲んだあとで、新しいぶどう酒を口にしたいとは思わないでしょう。『古い物は良い』と言われるとおりです。」

ルカによる福音書 5:1-39 Seisho Shinkyoudoyaku 聖書 新共同訳 (新共同訳)

イエスがゲネサレト湖畔に立っておられると、神の言葉を聞こうとして、群衆がその周りに押し寄せて来た。 イエスは、二そうの舟が岸にあるのを御覧になった。漁師たちは、舟から上がって網を洗っていた。 そこでイエスは、そのうちの一そうであるシモンの持ち舟に乗り、岸から少し漕ぎ出すようにお頼みになった。そして、腰を下ろして舟から群衆に教え始められた。 話し終わったとき、シモンに、「沖に漕ぎ出して網を降ろし、漁をしなさい」と言われた。 シモンは、「先生、わたしたちは、夜通し苦労しましたが、何もとれませんでした。しかし、お言葉ですから、網を降ろしてみましょう」と答えた。 そして、漁師たちがそのとおりにすると、おびただしい魚がかかり、網が破れそうになった。 そこで、もう一そうの舟にいる仲間に合図して、来て手を貸してくれるように頼んだ。彼らは来て、二そうの舟を魚でいっぱいにしたので、舟は沈みそうになった。 これを見たシモン・ペトロは、イエスの足もとにひれ伏して、「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者なのです」と言った。 とれた魚にシモンも一緒にいた者も皆驚いたからである。 シモンの仲間、ゼベダイの子のヤコブもヨハネも同様だった。すると、イエスはシモンに言われた。「恐れることはない。今から後、あなたは人間をとる漁師になる。」 そこで、彼らは舟を陸に引き上げ、すべてを捨ててイエスに従った。 イエスがある町におられたとき、そこに、全身重い皮膚病にかかった人がいた。この人はイエスを見てひれ伏し、「主よ、御心ならば、わたしを清くすることがおできになります」と願った。 イエスが手を差し伸べてその人に触れ、「よろしい。清くなれ」と言われると、たちまち重い皮膚病は去った。 イエスは厳しくお命じになった。「だれにも話してはいけない。ただ、行って祭司に体を見せ、モーセが定めたとおりに清めの献げ物をし、人々に証明しなさい。」 しかし、イエスのうわさはますます広まったので、大勢の群衆が、教えを聞いたり病気をいやしていただいたりするために、集まって来た。 だが、イエスは人里離れた所に退いて祈っておられた。 ある日のこと、イエスが教えておられると、ファリサイ派の人々と律法の教師たちがそこに座っていた。この人々は、ガリラヤとユダヤのすべての村、そしてエルサレムから来たのである。主の力が働いて、イエスは病気をいやしておられた。 すると、男たちが中風を患っている人を床に乗せて運んで来て、家の中に入れてイエスの前に置こうとした。 しかし、群衆に阻まれて、運び込む方法が見つからなかったので、屋根に上って瓦をはがし、人々の真ん中のイエスの前に、病人を床ごとつり降ろした。 イエスはその人たちの信仰を見て、「人よ、あなたの罪は赦された」と言われた。 ところが、律法学者たちやファリサイ派の人々はあれこれと考え始めた。「神を冒瀆するこの男は何者だ。ただ神のほかに、いったいだれが、罪を赦すことができるだろうか。」 イエスは、彼らの考えを知って、お答えになった。「何を心の中で考えているのか。 『あなたの罪は赦された』と言うのと、『起きて歩け』と言うのと、どちらが易しいか。 人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを知らせよう。」そして、中風の人に、「わたしはあなたに言う。起き上がり、床を担いで家に帰りなさい」と言われた。 その人はすぐさま皆の前で立ち上がり、寝ていた台を取り上げ、神を賛美しながら家に帰って行った。 人々は皆大変驚き、神を賛美し始めた。そして、恐れに打たれて、「今日、驚くべきことを見た」と言った。 その後、イエスは出て行って、レビという徴税人が収税所に座っているのを見て、「わたしに従いなさい」と言われた。 彼は何もかも捨てて立ち上がり、イエスに従った。 そして、自分の家でイエスのために盛大な宴会を催した。そこには徴税人やほかの人々が大勢いて、一緒に席に着いていた。 ファリサイ派の人々やその派の律法学者たちはつぶやいて、イエスの弟子たちに言った。「なぜ、あなたたちは、徴税人や罪人などと一緒に飲んだり食べたりするのか。」 イエスはお答えになった。「医者を必要とするのは、健康な人ではなく病人である。 わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるためである。」 人々はイエスに言った。「ヨハネの弟子たちは度々断食し、祈りをし、ファリサイ派の弟子たちも同じようにしています。しかし、あなたの弟子たちは飲んだり食べたりしています。」 そこで、イエスは言われた。「花婿が一緒にいるのに、婚礼の客に断食させることがあなたがたにできようか。 しかし、花婿が奪い取られる時が来る。その時には、彼らは断食することになる。」 そして、イエスはたとえを話された。「だれも、新しい服から布切れを破り取って、古い服に継ぎを当てたりはしない。そんなことをすれば、新しい服も破れるし、新しい服から取った継ぎ切れも古いものには合わないだろう。 また、だれも、新しいぶどう酒を古い革袋に入れたりはしない。そんなことをすれば、新しいぶどう酒は革袋を破って流れ出し、革袋もだめになる。 新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れねばならない。 また、古いぶどう酒を飲めば、だれも新しいものを欲しがらない。『古いものの方がよい』と言うのである。」

ルカによる福音書 5:1-39 Japanese: 聖書 口語訳 (口語訳)

さて、群衆が神の言を聞こうとして押し寄せてきたとき、イエスはゲネサレ湖畔に立っておられたが、 そこに二そうの小舟が寄せてあるのをごらんになった。漁師たちは、舟からおりて網を洗っていた。 その一そうはシモンの舟であったが、イエスはそれに乗り込み、シモンに頼んで岸から少しこぎ出させ、そしてすわって、舟の中から群衆にお教えになった。 話がすむと、シモンに「沖へこぎ出し、網をおろして漁をしてみなさい」と言われた。 シモンは答えて言った、「先生、わたしたちは夜通し働きましたが、何も取れませんでした。しかし、お言葉ですから、網をおろしてみましょう」。 そしてそのとおりにしたところ、おびただしい魚の群れがはいって、網が破れそうになった。 そこで、もう一そうの舟にいた仲間に、加勢に来るよう合図をしたので、彼らがきて魚を両方の舟いっぱいに入れた。そのために、舟が沈みそうになった。 これを見てシモン・ペテロは、イエスのひざもとにひれ伏して言った、「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者です」。 彼も一緒にいた者たちもみな、取れた魚がおびただしいのに驚いたからである。 シモンの仲間であったゼベダイの子ヤコブとヨハネも、同様であった。すると、イエスがシモンに言われた、「恐れることはない。今からあなたは人間をとる漁師になるのだ」。 そこで彼らは舟を陸に引き上げ、いっさいを捨ててイエスに従った。 イエスがある町におられた時、全身重い皮膚病にかかった人がそこにいた。イエスを見ると、顔を地に伏せて願って言った、「主よ、みこころでしたら、きよめていただけるのですが」。 イエスは手を伸ばして彼にさわり、「そうしてあげよう、きよくなれ」と言われた。すると、重い皮膚病がただちに去ってしまった。 イエスは、だれにも話さないようにと彼に言い聞かせ、「ただ行って自分のからだを祭司に見せ、それからあなたのきよめのため、モーセが命じたとおりのささげ物をして、人々に証明しなさい」とお命じになった。 しかし、イエスの評判はますますひろまって行き、おびただしい群衆が、教を聞いたり、病気をなおしてもらったりするために、集まってきた。 しかしイエスは、寂しい所に退いて祈っておられた。 ある日のこと、イエスが教えておられると、ガリラヤやユダヤの方々の村から、またエルサレムからきたパリサイ人や律法学者たちが、そこにすわっていた。主の力が働いて、イエスは人々をいやされた。 その時、ある人々が、ひとりの中風をわずらっている人を床にのせたまま連れてきて、家の中に運び入れ、イエスの前に置こうとした。 ところが、群衆のためにどうしても運び入れる方法がなかったので、屋根にのぼり、瓦をはいで、病人を床ごと群衆のまん中につりおろして、イエスの前においた。 イエスは彼らの信仰を見て、「人よ、あなたの罪はゆるされた」と言われた。 すると律法学者とパリサイ人たちとは、「神を汚すことを言うこの人は、いったい、何者だ。神おひとりのほかに、だれが罪をゆるすことができるか」と言って論じはじめた。 イエスは彼らの論議を見ぬいて、「あなたがたは心の中で何を論じているのか。 あなたの罪はゆるされたと言うのと、起きて歩けと言うのと、どちらがたやすいか。 しかし、人の子は地上で罪をゆるす権威を持っていることが、あなたがたにわかるために」と彼らに対して言い、中風の者にむかって、「あなたに命じる。起きよ、床を取り上げて家に帰れ」と言われた。 すると病人は即座にみんなの前で起きあがり、寝ていた床を取りあげて、神をあがめながら家に帰って行った。 みんなの者は驚嘆してしまった。そして神をあがめ、おそれに満たされて、「きょうは驚くべきことを見た」と言った。 そののち、イエスが出て行かれると、レビという名の取税人が収税所にすわっているのを見て、「わたしに従ってきなさい」と言われた。 すると、彼はいっさいを捨てて立ちあがり、イエスに従ってきた。 それから、レビは自分の家で、イエスのために盛大な宴会を催したが、取税人やそのほか大ぜいの人々が、共に食卓に着いていた。 ところが、パリサイ人やその律法学者たちが、イエスの弟子たちに対してつぶやいて言った、「どうしてあなたがたは、取税人や罪人などと飲食を共にするのか」。 イエスは答えて言われた、「健康な人には医者はいらない。いるのは病人である。 わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるためである」。 また彼らはイエスに言った、「ヨハネの弟子たちは、しばしば断食をし、また祈をしており、パリサイ人の弟子たちもそうしているのに、あなたの弟子たちは食べたり飲んだりしています」。 するとイエスは言われた、「あなたがたは、花婿が一緒にいるのに、婚礼の客に断食をさせることができるであろうか。 しかし、花婿が奪い去られる日が来る。その日には断食をするであろう」。 それからイエスはまた一つの譬を語られた、「だれも、新しい着物から布ぎれを切り取って、古い着物につぎを当てるものはない。もしそんなことをしたら、新しい着物を裂くことになるし、新しいのから取った布ぎれも古いのに合わないであろう。 まただれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。もしそんなことをしたら、新しいぶどう酒は皮袋をはり裂き、そしてぶどう酒は流れ出るし、皮袋もむだになるであろう。 新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきである。 まただれも、古い酒を飲んでから、新しいのをほしがりはしない。『古いのが良い』と考えているからである」。