創世記 30:1-43

創世記 30:1-43 Colloquial Japanese (1955) (JA1955)

ラケルは自分がヤコブに子を産まないのを知った時、姉をねたんでヤコブに言った、「わたしに子どもをください。さもないと、わたしは死にます」。 ヤコブはラケルに向かい怒って言った、「あなたの胎に子どもをやどらせないのは神です。わたしが神に代ることができようか」。 ラケルは言った、「わたしのつかえめビルハがいます。彼女の所におはいりなさい。彼女が子を産んで、わたしのひざに置きます。そうすれば、わたしもまた彼女によって子を持つでしょう」。 ラケルはつかえめビルハを彼に与えて、妻とさせたので、ヤコブは彼女の所にはいった。 ビルハは、みごもってヤコブに子を産んだ。 そこでラケルは、「神はわたしの訴えに答え、またわたしの声を聞いて、わたしに子を賜わった」と言って、名をダンと名づけた。 ラケルのつかえめビルハはまた、みごもって第二の子をヤコブに産んだ。 そこでラケルは、「わたしは激しい争いで、姉と争って勝った」と言って、名をナフタリと名づけた。 さてレアは自分が子を産むことのやんだのを見たとき、つかえめジルパを取り、妻としてヤコブに与えた。 レアのつかえめジルパはヤコブに子を産んだ。 そこでレアは、「幸運がきた」と言って、名をガドと名づけた。 レアのつかえめジルパは第二の子をヤコブに産んだ。 そこでレアは、「わたしは、しあわせです。娘たちはわたしをしあわせな者と言うでしょう」と言って、名をアセルと名づけた。 さてルベンは麦刈りの日に野に出て、野で恋なすびを見つけ、それを母レアのもとに持ってきた。ラケルはレアに言った、「あなたの子の恋なすびをどうぞわたしにください」。 レアはラケルに言った、「あなたがわたしの夫を取ったのは小さな事でしょうか。その上、あなたはまたわたしの子の恋なすびをも取ろうとするのですか」。ラケルは言った、「それではあなたの子の恋なすびに換えて、今夜彼をあなたと共に寝させましょう」。 夕方になって、ヤコブが野から帰ってきたので、レアは彼を出迎えて言った、「わたしの子の恋なすびをもって、わたしがあなたを雇ったのですから、あなたはわたしの所に、はいらなければなりません」。ヤコブはその夜レアと共に寝た。 神はレアの願いを聞かれたので、彼女はみごもって五番目の子をヤコブに産んだ。 そこでレアは、「わたしがつかえめを夫に与えたから、神がわたしにその価を賜わったのです」と言って、名をイッサカルと名づけた。 レアはまた、みごもって六番目の子をヤコブに産んだ。 そこでレアは、「神はわたしに良い賜物をたまわった。わたしは六人の子を夫に産んだから、今こそ彼はわたしと一緒に住むでしょう」と言って、その名をゼブルンと名づけた。 その後、彼女はひとりの娘を産んで、名をデナと名づけた。 次に神はラケルを心にとめられ、彼女の願いを聞き、その胎を開かれたので、 彼女は、みごもって男の子を産み、「神はわたしの恥をすすいでくださった」と言って、 名をヨセフと名づけ、「主がわたしに、なおひとりの子を加えられるように」と言った。 ラケルがヨセフを産んだ時、ヤコブはラバンに言った、「わたしを去らせて、わたしの故郷、わたしの国へ行かせてください。 あなたに仕えて得たわたしの妻子を、わたしに与えて行かせてください。わたしがあなたのために働いた骨折りは、あなたがごぞんじです」。 ラバンは彼に言った、「もし、あなたの心にかなうなら、とどまってください。わたしは主があなたのゆえに、わたしを恵まれるしるしを見ました」。 また言った、「あなたの報酬を申し出てください。わたしはそれを払います」。 ヤコブは彼に言った、「わたしがどのようにあなたに仕えたか、またどのようにあなたの家畜を飼ったかは、あなたがごぞんじです。 わたしが来る前には、あなたの持っておられたものはわずかでしたが、ふえて多くなりました。主はわたしの行く所どこでも、あなたを恵まれました。しかし、いつになったらわたしも自分の家を成すようになるでしょうか」。 彼は言った、「何をあなたにあげようか」。ヤコブは言った、「なにもわたしにくださるに及びません。もしあなたが、わたしのためにこの一つの事をしてくださるなら、わたしは今一度あなたの群れを飼い、守りましょう。 わたしはきょう、あなたの群れをみな回ってみて、その中からすべてぶちとまだらの羊、およびすべて黒い小羊と、やぎの中のまだらのものと、ぶちのものとを移しますが、これをわたしの報酬としましょう。 あとで、あなたがきて、あなたの前でわたしの報酬をしらべる時、わたしの正しい事が証明されるでしょう。もしも、やぎの中にぶちのないもの、まだらでないものがあったり、小羊の中に黒くないものがあれば、それはみなわたしが盗んだものとなるでしょう」。 ラバンは言った、「よろしい。あなたの言われるとおりにしましょう」。 そこでラバンはその日、雄やぎのしまのあるもの、まだらのもの、すべて雌やぎのぶちのもの、まだらのもの、すべて白みをおびているもの、またすべて小羊の中の黒いものを移して子らの手にわたし、 ヤコブとの間に三日路の隔たりを設けた。ヤコブはラバンの残りの群れを飼った。 ヤコブは、はこやなぎと、あめんどうと、すずかけの木のなまの枝を取り、皮をはいでそれに白い筋をつくり、枝の白い所を表わし、 皮をはいだ枝を、群れがきて水を飲む鉢、すなわち水ぶねの中に、群れに向かわせて置いた。群れは水を飲みにきた時に、はらんだ。 すなわち群れは枝の前で、はらんで、しまのあるもの、ぶちのもの、まだらのものを産んだ。 ヤコブはその小羊を別においた。彼はまた群れの顔をラバンの群れのしまのあるものと、すべて黒いものとに向かわせた。そして自分の群れを別にまとめておいて、ラバンの群れには、入れなかった。 また群れの強いものが発情した時には、ヤコブは水ぶねの中に、その群れの目の前に、かの枝を置いて、枝の間で、はらませた。 けれども群れの弱いものの時には、それを置かなかった。こうして弱いものはラバンのものとなり、強いものはヤコブのものとなったので、 この人は大いに富み、多くの群れと、男女の奴隷、およびらくだ、ろばを持つようになった。

創世記 30:1-43 リビングバイブル (JCB)

一方、ラケルは自分が子どもを産んでいないので、姉に嫉妬するようになりました。そしてとうとう、「何とかしてください。私も子どもが欲しいのです。でないと、死んでしまいそうです」とヤコブに言いました。 ヤコブは腹を立てて言いました。「何だって? 私は神様ではない。おまえに子どもが与えられないのは、神様がそうしておられるからだろう。」 「そう、では召使のビルハと寝てください。あの子にあなたの子どもができたら、私の子どもにするから。」 こうして、ヤコブはビルハをそばめとしました。 やがてビルハは男の子を産みました。 ラケルは、「神様は正義を行ってくださった。願いどおり息子を下さったのだから」と言って、その子をダン〔「正義」の意〕と名づけました。 ラケルの女奴隷ビルハは、二人目の男の子を産みました。 ラケルは、「死に物狂いの争いだったけど、とうとう姉さんに勝った」と言って、その子をナフタリ〔「争い」の意〕と名づけました。 一方レアは、もう子どもが産めなくなったので、召使のジルパをヤコブのそばめにしました。 やがて、ジルパは男の子を産み、レアはその子をガド〔「運が開ける」の意〕と名づけました。 ジルパはまた男の子を産んだので、 レアは、「私は幸せ者だわ。ほかの女たちもきっとそう思うでしょう」と言って、その子にアシェル〔「幸福」の意〕という名をつけました。 さて、麦の刈り入れが始まったある日のこと、長男ルベンが野で恋なすび〔果実に強い麻酔性のある薬用植物で、食べると身ごもると信じられていた〕を見つけ、母レアのところに持って来ました。ラケルは黙っていられず、レアに、自分にも少し分けてくれるよう頼みました。 レアは腹を立てて言いました。「夫を取っただけではまだ不足なの? 私の息子が見つけて来た恋なすびまで取り上げるなんて、あんまりじゃない。」 ラケルは答えました。「だったら、こうしましょうよ。恋なすびをくれれば、今夜は姉さんがあの人と寝てもいいわ。」 夕方、畑から戻ったヤコブをレアが出迎えました。「今夜は私のところへ来てくださいね。ルベンが見つけた恋なすびをラケルにあげた交換条件ですから。」彼はそうしました。 神はレアの祈りに答え、彼女に五人目の男の子を授けてくださいました。 彼女は、「夫に私の女奴隷を与えたので、神様が報いてくださった」と喜んで、その子の名をイッサカル〔「報酬」の意〕としました。 その後またレアに、六人目の男の子が生まれました。 彼女は、「神様は、夫が一番喜ぶ贈り物を下さった。六人も男の子を産んだのだから、今度こそ、あの人も私を大切にしてくれるでしょう」と言って、ゼブルン〔「贈り物」の意〕と名づけました。 そのあと、今度は女の子が生まれ、ディナと名づけられました。 神はラケルを忘れてはいませんでした。ラケルの苦しみを見て、祈りに答え、男の子をお与えになりました。 男の子が生まれた時、彼女は、「神様は私の恥を取り除いてくださった」と言って、ヨセフ〔「もう一人、子どもが授かるように」の意〕と名づけました。「男の子をもう一人授けてください」と願ったからです。 ヨセフが生まれてしばらくたって、ヤコブは突然、ラバンに言いました。「そろそろ国へ帰りたいと考えています。 もちろん妻と子どもたちもいっしょです。それだけのことはしてきたつもりです。こんなに長い間、あなたのために身を粉にして働いたことは、よくご存じでしょう。」 「そんなことを言わず、ここにいてくれないか。実は、占い師に見てもらったのだ。そうしたら、私がこんなに恵まれてるのは、全部おまえのおかげだというではないか。 報酬が不足なら、上げてやってもいい。ここにいてくれるなら、おまえの望む額を喜んで出そうじゃないか。」 「知ってのとおり、私は長年あなたのために忠実に働きました。それで、あなたの家畜がこんなに増えたのです。 私が来たばかりの時は、財産といってもほんの少ししかなかったのに、今はかなりのものです。それというのも、神様が、私のすることは何でも祝福してくださったからです。それなのに、当の私はどうでしょう。いつになれば自分の財産が持てるのですか。」 「で? 何が欲しいのだ。」 「条件は一つだけです。それさえのんでもらえれば、また喜んで働きます。今日、私はお義父さんの群れの番をしますが、まだらやぶちのあるやぎと、黒い毛の羊は、すべて別にしますから、それを私に下さい。 あとで、もし私の群れの中に白いやぎや羊が一匹でもいれば、私があなたのものを盗んだことになる、というわけです。」 「いいだろう。おまえの言うとおりにしよう。」 さっそく、ラバンは外に出て、ヤコブのために家畜の群れを分けました。雄でも雌でも、ぶちやしまのあるやぎ、つまり黒の中に少しでも白い部分のあるやぎと、黒い羊ばかりの群れができました。それがヤコブのものです。ラバンは自分の息子たちにその群れをゆだね、歩いて三日ほどかかる場所へ連れて行かせました。ヤコブは、ラバンの残りの群れの世話をしました。 彼はまず、ポプラ、アーモンド、プラタナスの若枝を切り、皮をむいて白い木肌を出しました。 それを、群れが水を飲みに来たとき自然に見えるように、水飲み場のそばに置きました。家畜は水を飲みに来たとき交尾するので、 そうしておくと、やぎは白いしまのある枝を見ながら交尾することになり、その結果、ぶちやしまのある子が生まれるというのです(そのように信じられていた)。それはみな、ヤコブのものになりました。次に、ラバンの群れから雌羊を取り出し、自分の黒い雄羊とだけ交尾させるようにしました。ヤコブの群れは増える一方です。 そればかりではありません。彼は、力の強そうなのが交尾している時は、皮をむいた枝をそばに置き、 弱そうなのが来た時は、置かないようにしたのです。それで、あまり丈夫でない子羊はラバンのものとなり、丈夫なのはヤコブのものとなりました。 当然、ヤコブの群れはどんどん増え、らくだやろばも増えました。彼は召使も大ぜいかかえ、たいへんな資産家となりました。

創世記 30:1-43 Seisho Shinkyoudoyaku 聖書 新共同訳 (新共同訳)

ラケルは、ヤコブとの間に子供ができないことが分かると、姉をねたむようになり、ヤコブに向かって、「わたしにもぜひ子供を与えてください。与えてくださらなければ、わたしは死にます」と言った。 ヤコブは激しく怒って、言った。「わたしが神に代われると言うのか。お前の胎に子供を宿らせないのは神御自身なのだ。」 ラケルは、「わたしの召し使いのビルハがいます。彼女のところに入ってください。彼女が子供を産み、わたしがその子を膝の上に迎えれば、彼女によってわたしも子供を持つことができます」と言った。 ラケルはヤコブに召し使いビルハを側女として与えたので、ヤコブは彼女のところに入った。 やがて、ビルハは身ごもってヤコブとの間に男の子を産んだ。 そのときラケルは、「わたしの訴えを神は正しくお裁き(ディン)になり、わたしの願いを聞き入れ男の子を与えてくださった」と言った。そこで、彼女はその子をダンと名付けた。 ラケルの召し使いビルハはまた身ごもって、ヤコブとの間に二人目の男の子を産んだ。 そのときラケルは、「姉と死に物狂いの争いをして(ニフタル)、ついに勝った」と言って、その名をナフタリと名付けた。 レアも自分に子供ができなくなったのを知ると、自分の召し使いジルパをヤコブに側女として与えたので、 レアの召し使いジルパはヤコブとの間に男の子を産んだ。 そのときレアは、「なんと幸運な(ガド)」と言って、その子をガドと名付けた。 レアの召し使いジルパはヤコブとの間に二人目の男の子を産んだ。 そのときレアは、「なんと幸せなこと(アシェル)か。娘たちはわたしを幸せ者と言うにちがいない」と言って、その子をアシェルと名付けた。 小麦の刈り入れのころ、ルベンは野原で恋なすびを見つけ、母レアのところへ持って来た。ラケルがレアに、「あなたの子供が取って来た恋なすびをわたしに分けてください」と言うと、 レアは言った。「あなたは、わたしの夫を取っただけでは気が済まず、わたしの息子の恋なすびまで取ろうとするのですか。」「それでは、あなたの子供の恋なすびの代わりに、今夜あの人があなたと床を共にするようにしましょう」とラケルは答えた。 夕方になり、ヤコブが野原から帰って来ると、レアは出迎えて言った。「あなたはわたしのところに来なければなりません。わたしは、息子の恋なすびであなたを雇ったのですから。」その夜、ヤコブはレアと寝た。 神がレアの願いを聞き入れられたので、レアは身ごもってヤコブとの間に五人目の男の子を産んだ。 そのときレアは、「わたしが召し使いを夫に与えたので、神はその報酬(サカル)をくださった」と言って、その子をイサカルと名付けた。 レアはまた身ごもって、ヤコブとの間に六人目の男の子を産んだ。 そのときレアは、「神がすばらしい贈り物をわたしにくださった。今度こそ、夫はわたしを尊敬してくれる(ザバル)でしょう。夫のために六人も男の子を産んだのだから」と言って、その子をゼブルンと名付けた。 その後、レアは女の子を産み、その子をディナと名付けた。 しかし、神はラケルも御心に留め、彼女の願いを聞き入れその胎を開かれたので、 ラケルは身ごもって男の子を産んだ。そのときラケルは、「神がわたしの恥をすすいでくださった」と言った。 彼女は、「主がわたしにもう一人男の子を加えてくださいますように(ヨセフ)」と願っていたので、その子をヨセフと名付けた。 ラケルがヨセフを産んだころ、ヤコブはラバンに言った。「わたしを独り立ちさせて、生まれ故郷へ帰らせてください。 わたしは今まで、妻を得るためにあなたのところで働いてきたのですから、妻子と共に帰らせてください。あなたのために、わたしがどんなに尽くしてきたか、よくご存じのはずです。」 「もし、お前さえ良ければ、もっといてほしいのだが。実は占いで、わたしはお前のお陰で、主から祝福をいただいていることが分かったのだ」とラバンは言い、 更に続けて、「お前の望む報酬をはっきり言いなさい。必ず支払うから」と言った。 ヤコブは言った。「わたしがどんなにあなたのために尽くし、家畜の世話をしてきたかよくご存じのはずです。 わたしが来るまではわずかだった家畜が、今ではこんなに多くなっています。わたしが来てからは、主があなたを祝福しておられます。しかし今のままでは、いつになったらわたしは自分の家を持つことができるでしょうか。」 「何をお前に支払えばよいのか」とラバンが尋ねると、ヤコブは答えた。「何もくださるには及びません。ただこういう条件なら、もう一度あなたの群れを飼い、世話をいたしましょう。 今日、わたしはあなたの群れを全部見回って、その中から、ぶちとまだらの羊をすべてと羊の中で黒みがかったものをすべて、それからまだらとぶちの山羊を取り出しておきますから、それをわたしの報酬にしてください。 明日、あなたが来てわたしの報酬をよく調べれば、わたしの正しいことは証明されるでしょう。山羊の中にぶちとまだらでないものや、羊の中に黒みがかっていないものがあったら、わたしが盗んだものと見なして結構です。」 ラバンは言った。「よろしい。お前の言うとおりにしよう。」 ところが、その日、ラバンは縞やまだらの雄山羊とぶちやまだらの雌山羊全部、つまり白いところが混じっているもの全部とそれに黒みがかった羊をみな取り出して自分の息子たちの手に渡し、 ヤコブがラバンの残りの群れを飼っている間に、自分とヤコブとの間に歩いて三日かかるほどの距離をおいた。 ヤコブは、ポプラとアーモンドとプラタナスの木の若枝を取って来て、皮をはぎ、枝に白い木肌の縞を作り、 家畜の群れがやって来たときに群れの目につくように、皮をはいだ枝を家畜の水飲み場の水槽の中に入れた。そして、家畜の群れが水を飲みにやって来たとき、さかりがつくようにしたので、 家畜の群れは、その枝の前で交尾して縞やぶちやまだらのものを産んだ。 また、ヤコブは羊を二手に分けて、一方の群れをラバンの群れの中の縞のものと全体が黒みがかったものとに向かわせた。彼は、自分の群れだけにはそうしたが、ラバンの群れにはそうしなかった。 また、丈夫な羊が交尾する時期になると、ヤコブは皮をはいだ枝をいつも水ぶねの中に入れて群れの前に置き、枝のそばで交尾させたが、 弱い羊のときには枝を置かなかった。そこで、弱いのはラバンのものとなり、丈夫なのはヤコブのものとなった。 こうして、ヤコブはますます豊かになり、多くの家畜や男女の奴隷、それにらくだやろばなどを持つようになった。

創世記 30:1-43 Japanese: 聖書 口語訳 (口語訳)

ラケルは自分がヤコブに子を産まないのを知った時、姉をねたんでヤコブに言った、「わたしに子どもをください。さもないと、わたしは死にます」。 ヤコブはラケルに向かい怒って言った、「あなたの胎に子どもをやどらせないのは神です。わたしが神に代ることができようか」。 ラケルは言った、「わたしのつかえめビルハがいます。彼女の所におはいりなさい。彼女が子を産んで、わたしのひざに置きます。そうすれば、わたしもまた彼女によって子を持つでしょう」。 ラケルはつかえめビルハを彼に与えて、妻とさせたので、ヤコブは彼女の所にはいった。 ビルハは、みごもってヤコブに子を産んだ。 そこでラケルは、「神はわたしの訴えに答え、またわたしの声を聞いて、わたしに子を賜わった」と言って、名をダンと名づけた。 ラケルのつかえめビルハはまた、みごもって第二の子をヤコブに産んだ。 そこでラケルは、「わたしは激しい争いで、姉と争って勝った」と言って、名をナフタリと名づけた。 さてレアは自分が子を産むことのやんだのを見たとき、つかえめジルパを取り、妻としてヤコブに与えた。 レアのつかえめジルパはヤコブに子を産んだ。 そこでレアは、「幸運がきた」と言って、名をガドと名づけた。 レアのつかえめジルパは第二の子をヤコブに産んだ。 そこでレアは、「わたしは、しあわせです。娘たちはわたしをしあわせな者と言うでしょう」と言って、名をアセルと名づけた。 さてルベンは麦刈りの日に野に出て、野で恋なすびを見つけ、それを母レアのもとに持ってきた。ラケルはレアに言った、「あなたの子の恋なすびをどうぞわたしにください」。 レアはラケルに言った、「あなたがわたしの夫を取ったのは小さな事でしょうか。その上、あなたはまたわたしの子の恋なすびをも取ろうとするのですか」。ラケルは言った、「それではあなたの子の恋なすびに換えて、今夜彼をあなたと共に寝させましょう」。 夕方になって、ヤコブが野から帰ってきたので、レアは彼を出迎えて言った、「わたしの子の恋なすびをもって、わたしがあなたを雇ったのですから、あなたはわたしの所に、はいらなければなりません」。ヤコブはその夜レアと共に寝た。 神はレアの願いを聞かれたので、彼女はみごもって五番目の子をヤコブに産んだ。 そこでレアは、「わたしがつかえめを夫に与えたから、神がわたしにその価を賜わったのです」と言って、名をイッサカルと名づけた。 レアはまた、みごもって六番目の子をヤコブに産んだ。 そこでレアは、「神はわたしに良い賜物をたまわった。わたしは六人の子を夫に産んだから、今こそ彼はわたしと一緒に住むでしょう」と言って、その名をゼブルンと名づけた。 その後、彼女はひとりの娘を産んで、名をデナと名づけた。 次に神はラケルを心にとめられ、彼女の願いを聞き、その胎を開かれたので、 彼女は、みごもって男の子を産み、「神はわたしの恥をすすいでくださった」と言って、 名をヨセフと名づけ、「主がわたしに、なおひとりの子を加えられるように」と言った。 ラケルがヨセフを産んだ時、ヤコブはラバンに言った、「わたしを去らせて、わたしの故郷、わたしの国へ行かせてください。 あなたに仕えて得たわたしの妻子を、わたしに与えて行かせてください。わたしがあなたのために働いた骨折りは、あなたがごぞんじです」。 ラバンは彼に言った、「もし、あなたの心にかなうなら、とどまってください。わたしは主があなたのゆえに、わたしを恵まれるしるしを見ました」。 また言った、「あなたの報酬を申し出てください。わたしはそれを払います」。 ヤコブは彼に言った、「わたしがどのようにあなたに仕えたか、またどのようにあなたの家畜を飼ったかは、あなたがごぞんじです。 わたしが来る前には、あなたの持っておられたものはわずかでしたが、ふえて多くなりました。主はわたしの行く所どこでも、あなたを恵まれました。しかし、いつになったらわたしも自分の家を成すようになるでしょうか」。 彼は言った、「何をあなたにあげようか」。ヤコブは言った、「なにもわたしにくださるに及びません。もしあなたが、わたしのためにこの一つの事をしてくださるなら、わたしは今一度あなたの群れを飼い、守りましょう。 わたしはきょう、あなたの群れをみな回ってみて、その中からすべてぶちとまだらの羊、およびすべて黒い小羊と、やぎの中のまだらのものと、ぶちのものとを移しますが、これをわたしの報酬としましょう。 あとで、あなたがきて、あなたの前でわたしの報酬をしらべる時、わたしの正しい事が証明されるでしょう。もしも、やぎの中にぶちのないもの、まだらでないものがあったり、小羊の中に黒くないものがあれば、それはみなわたしが盗んだものとなるでしょう」。 ラバンは言った、「よろしい。あなたの言われるとおりにしましょう」。 そこでラバンはその日、雄やぎのしまのあるもの、まだらのもの、すべて雌やぎのぶちのもの、まだらのもの、すべて白みをおびているもの、またすべて小羊の中の黒いものを移して子らの手にわたし、 ヤコブとの間に三日路の隔たりを設けた。ヤコブはラバンの残りの群れを飼った。 ヤコブは、はこやなぎと、あめんどうと、すずかけの木のなまの枝を取り、皮をはいでそれに白い筋をつくり、枝の白い所を表わし、 皮をはいだ枝を、群れがきて水を飲む鉢、すなわち水ぶねの中に、群れに向かわせて置いた。群れは水を飲みにきた時に、はらんだ。 すなわち群れは枝の前で、はらんで、しまのあるもの、ぶちのもの、まだらのものを産んだ。 ヤコブはその小羊を別においた。彼はまた群れの顔をラバンの群れのしまのあるものと、すべて黒いものとに向かわせた。そして自分の群れを別にまとめておいて、ラバンの群れには、入れなかった。 また群れの強いものが発情した時には、ヤコブは水ぶねの中に、その群れの目の前に、かの枝を置いて、枝の間で、はらませた。 けれども群れの弱いものの時には、それを置かなかった。こうして弱いものはラバンのものとなり、強いものはヤコブのものとなったので、 この人は大いに富み、多くの群れと、男女の奴隷、およびらくだ、ろばを持つようになった。