サムエル記下 18:1-22

サムエル記下 18:1-22 Colloquial Japanese (1955) (JA1955)

さてダビデは自分と共にいる民を調べて、その上に千人の長、百人の長を立てた。 そしてダビデは民をつかわし、三分の一をヨアブの手に、三分の一をゼルヤの子ヨアブの兄弟アビシャイの手に、三分の一をガテびとイッタイの手にあずけた。こうして王は民に言った、「わたしもまた必ずあなたがたと一緒に出ます」。 しかし民は言った、「あなたは出てはなりません。それはわれわれがどんなに逃げても、彼らはわれわれに心をとめず、われわれの半ばが死んでも、われわれに心をとめないからです。しかしあなたはわれわれの一万に等しいのです。それゆえあなたは町の中からわれわれを助けてくださる方がよろしい」。 王は彼らに言った、「あなたがたの最も良いと思うことをわたしはしましょう」。こうして王は門のかたわらに立ち、民は皆あるいは百人、あるいは千人となって出て行った。 王はヨアブ、アビシャイおよびイッタイに命じて、「わたしのため、若者アブサロムをおだやかに扱うように」と言った。王がアブサロムの事についてすべての長たちに命じている時、民は皆聞いていた。 こうして民はイスラエルに向かって野に出て行き、エフライムの森で戦ったが、 イスラエルの民はその所でダビデの家来たちの前に敗れた。その日その所に戦死者が多く、二万に及んだ。 そして戦いはあまねくその地のおもてに広がった。この日、森の滅ぼした者は、つるぎの滅ぼした者よりも多かった。 さてアブサロムはダビデの家来たちに行き会った。その時アブサロムは騾馬に乗っていたが、騾馬は大きいかしの木の、茂った枝の下を通ったので、アブサロムの頭がそのかしの木にかかって、彼は天地の間につりさがった。騾馬は彼を捨てて過ぎて行った。 ひとりの人がそれを見てヨアブに告げて言った、「わたしはアブサロムが、かしの木にかかっているのを見ました」。 ヨアブはそれを告げた人に言った、「あなたはそれを見たというのか。それなら、どうしてあなたは彼をその所で、地に撃ち落さなかったのか。わたしはあなたに銀十シケルと帯一筋を与えたであろうに」。 その人はヨアブに言った、「たといわたしの手に銀千シケルを受けても、手を出して王の子に敵することはしません。王はわれわれが聞いているところで、あなたとアビシャイとイッタイに、『わたしのため若者アブサロムを保護せよ』と命じられたからです。 もしわたしがそむいて彼の命をそこなったのであれば、何事も王に隠れることはありませんから、あなたはみずから立ってわたしを責められたでしょう」。 そこで、ヨアブは「こうしてあなたと共にとどまってはおられない」と言って、手に三筋の投げやりを取り、あのかしの木にかかって、なお生きているアブサロムの心臓にこれを突き通した。 ヨアブの武器を執る十人の若者たちは取り巻いて、アブサロムを撃ち殺した。 こうしてヨアブがラッパを吹いたので、民はイスラエルのあとを追うことをやめて帰った。ヨアブが民を引きとめたからである。 人々はアブサロムを取って、森の中の大きな穴に投げいれ、その上にひじょうに大きい石塚を積み上げた。そしてイスラエルはみなおのおのその天幕に逃げ帰った。 さてアブサロムは生きている間に、王の谷に自分のために一つの柱を建てた。それは彼が、「わたしは自分の名を伝える子がない」と思ったからである。彼はその柱に自分の名をつけた。その柱は今日までアブサロムの碑ととなえられている。 さてザドクの子アヒマアズは言った、「わたしは走って行って、主が王を敵の手から救い出されたおとずれを王に伝えましょう」。 ヨアブは彼に言った、「きょうは、おとずれを伝えてはならない。おとずれを伝えるのは、ほかの日にしなさい。きょうは王の子が死んだので、おとずれを伝えてはならない」。 ヨアブはクシびとに言った、「行って、あなたの見た事を王に告げなさい」。クシびとはヨアブに礼をして走って行った。 ザドクの子アヒマアズは重ねてヨアブに言った、「何事があろうとも、わたしにもクシびとのあとから走って行かせてください」。ヨアブは言った、「子よ、おとずれの報いを得られないのに、どうしてあなたは走って行こうとするのか」。

サムエル記下 18:1-22 リビングバイブル (JCB)

さて、ダビデは軍を再編成し、連隊長や中隊長を任命しました。 全軍を三隊に分け、ヨアブと、その兄弟で同じくツェルヤの息子アビシャイと、ガテ人イタイにそれぞれ指揮させました。王は自ら陣頭に立ちたいと考えていましたが、家来たちの猛反対に会いました。 「それは断じてなりません。私たちが逃げ出そうと、半数が死のうと、彼らにはどうでもよいことなのです。目当てはあなたお一人なのですから。あなたは、私たちの一万人にも当たるお方です。ですから今は、この町にとどまって、必要な時に助けてくださればよろしいのです。」 ついに王も、「わかった。言うとおりにしよう」とうなずきました。王は町の門に立って、全軍が出陣するのを見送りました。 王はヨアブ、アビシャイ、イタイに、「私に免じて、あの若いアブシャロムには、手ごころを加えてやってくれ」と命じました。全兵士は、王が指揮官たちにそう命じるのを聞いていました。 こうして、戦いはエフライムの森で始まったのです。 イスラエル軍はダビデ軍に撃退され、ばたばたと兵士が倒れて、その日のうちに、なんと二万人がいのちを落としました。 戦いはこの地方一帯に広がり、殺された者よりも、森で行方不明になった者のほうが、はるかに多い有様でした。 戦いの最中、アブシャロムは幾人かのダビデ軍兵士に出くわしました。らばに乗って逃げていたアブシャロムは、大きな樫の木の枝が覆いかぶさる下を通り抜ける時、髪を枝に引っかけてしまいました。らばはそのまま行ってしまい、アブシャロムだけが宙づりになったのです。 ダビデの兵士の一人がそれを見て、ヨアブに知らせました。 ヨアブは、「な、なんだと! やつを見つけて、どうして殺さなかったのだ。たくさんの褒美を取らせ、将校にでも取り立ててやったのに」と言いました。 「どれほどご褒美が頂けましょうとも、そんなことはごめんです。私たちはみな、王様が指揮官のお三方に、『私に免じて、若いアブシャロムに手を下すのだけはやめてくれ』とお頼みになったのを聞いたのですから。 それに、もし私が命令に背いて王子様を殺したとして、そのことが王様に知れた場合、将軍、あなた様が真っ先に私を非難なさるのではありませんか?」 「たわごとを言うな!」こう言い捨てると、ヨアブは三本の槍を取り、宙づりになったまま息も絶え絶えになっていたアブシャロムの心臓を突き刺しました。 ヨアブ直属の若いよろい持ち十人も、アブシャロムを取り囲み、とどめを刺しました。 ヨアブはラッパを吹き鳴らし、イスラエル軍追撃をやめて、兵を引き揚げました。 人々はアブシャロムの死体を森の深い穴に投げ込み、石を山のように積み上げました。イスラエル軍兵士は、てんでに自分たちの天幕に逃げ帰っていました。 生前アブシャロムは、「私には跡取りの息子がいないから」と言って、王の谷に自分の記念碑を建てていました。彼が、「アブシャロムの記念碑」と名づけたそれは、今も残っています。 ツァドクの子アヒマアツが申し出ました。「この吉報を王様にお伝えする役目を、ぜひとも私に仰せつけください。主が敵アブシャロムの手から救い出してくださったのですから。」 「いかんいかん。王子が死んだことなど、良い知らせとは言えない。おまえには、また別の機会に働いてもらおう。」 こう言うと、ヨアブは一人のクシュ人に命じました。「さあ、行ってくれ。見たとおりを王様にお知らせするのだ。」男はヨアブに一礼すると、すぐに走りだしました。 それでも、アヒマアツはあきらめません。「どうか、私も行かせてください」と、必死にヨアブにすがります。「困ったやつだな。今は、おまえの出る幕ではないのだ。もう何も王にお知らせすることはない。」

サムエル記下 18:1-22 Seisho Shinkyoudoyaku 聖書 新共同訳 (新共同訳)

ダビデは彼に従う兵を調べ、千人隊の長と百人隊の長を任命した。 次いでダビデは兵士を三部隊に分け、三分の一をヨアブの指揮下に、三分の一をツェルヤの子、ヨアブの弟アビシャイの指揮下に、三分の一をガト人イタイの指揮下においた。ダビデ王は兵士に言った。「わたしもお前たちと共に出陣する。」 兵士は言った。「出陣なさってはいけません。我々が逃げ出したとしても彼らは気にも留めないでしょうし、我々の半数が戦死しても気にも留めないでしょう。しかしあなたは我々の一万人にも等しい方です。今は町にとどまり、町から我々を助けてくださる方がよいのです。」 「わたしはお前たちの目に良いと映ることをしよう」と王は言って、町の城門の傍らに立ち、兵士は皆、百人隊、千人隊となって出て行った。 王はヨアブ、アビシャイ、イタイに命じた。「若者アブサロムを手荒には扱わないでくれ。」兵士は皆、アブサロムについて王が将軍たち全員に命じるのを聞いていた。 兵士たちはイスラエル軍と戦うために野に出て行った。戦いはエフライムの森で起こり、 イスラエル軍はそこでダビデの家臣に敗れた。大敗北で、その日、二万人を失った。 戦いはその地の全面に広がり、その日密林の餌食になった者は剣が餌食にした者よりも多かった。 アブサロムがダビデの家臣に出会ったとき、彼はらばに乗っていたが、らばが樫の大木のからまりあった枝の下を通ったので、頭がその木にひっかかり、彼は天と地の間に宙づりになった。乗っていたらばはそのまま走り過ぎてしまった。 兵の一人がこれを見て、ヨアブに知らせた。「アブサロムが樫の木に宙づりになっているのを見ました。」 ヨアブは知らせに来た者に言った。「見たなら、なぜその場で地に打ち落とさなかったのか。銀十枚と革帯一本を与えただろうに。」 その兵はヨアブに言った。「たとえこの手のひらに銀千枚の重みを感じるとしても、王子をこの手にかけたりはしません。王があなたとアビシャイ、イタイに、若者アブサロムを守れ、と命じられたのを我々は耳にしました。 仮に、わたしが彼の命を奪ってそれを偽ろうとしても、王には何一つ隠せません。あなたもわたしを非とする側に立つでしょう。」 「それなら、お前に期待はしない」とヨアブは言った。アブサロムは樫の木にひっかかったまま、まだ生きていた。ヨアブは棒を三本手に取り、アブサロムの心臓に突き刺した。 ヨアブの武器を持つ従卒十人が取り囲んでアブサロムを打ち、とどめを刺した。 ヨアブは角笛を吹いて兵士を引き止めたので、彼らはイスラエル軍の追跡をやめて戻って来た。 彼らはアブサロムを降ろし、森の中の大穴に投げ込み、その上に石を積み上げて非常に大きな塚を作った。イスラエルの全軍はそれぞれの天幕に逃げ帰った。 アブサロムは生前、王の谷に自分のための石柱を立てていた。跡継ぎの息子がなく、名が絶えると思ったからで、この石柱に自分の名を付けていた。今日もアブサロムの碑と呼ばれている。 ツァドクの子アヒマアツは言った。「走って行って、主が王を敵の手から救ってくださったという良い知らせを王に伝えます。」 ヨアブは彼に、「今日、お前が知らせるのはよくない。日を改めて報告するがよい。今日は知らせないでおこう。王の息子が死んだのだ」と言い、 クシュ人に命じた。「行って、お前が見たとおりに王に報告せよ。」クシュ人はヨアブに一礼して走り去った。 ツァドクの子アヒマアツは再びヨアブに、「どんなことになろうと、わたしもクシュ人を追って走りたいのです」と願った。「子よ、お前はどうしてそんなに走りたいのだ。お前が行って知らせるほどの良い知らせではない」とヨアブは言ったが、

サムエル記下 18:1-22 Japanese: 聖書 口語訳 (口語訳)

さてダビデは自分と共にいる民を調べて、その上に千人の長、百人の長を立てた。 そしてダビデは民をつかわし、三分の一をヨアブの手に、三分の一をゼルヤの子ヨアブの兄弟アビシャイの手に、三分の一をガテびとイッタイの手にあずけた。こうして王は民に言った、「わたしもまた必ずあなたがたと一緒に出ます」。 しかし民は言った、「あなたは出てはなりません。それはわれわれがどんなに逃げても、彼らはわれわれに心をとめず、われわれの半ばが死んでも、われわれに心をとめないからです。しかしあなたはわれわれの一万に等しいのです。それゆえあなたは町の中からわれわれを助けてくださる方がよろしい」。 王は彼らに言った、「あなたがたの最も良いと思うことをわたしはしましょう」。こうして王は門のかたわらに立ち、民は皆あるいは百人、あるいは千人となって出て行った。 王はヨアブ、アビシャイおよびイッタイに命じて、「わたしのため、若者アブサロムをおだやかに扱うように」と言った。王がアブサロムの事についてすべての長たちに命じている時、民は皆聞いていた。 こうして民はイスラエルに向かって野に出て行き、エフライムの森で戦ったが、 イスラエルの民はその所でダビデの家来たちの前に敗れた。その日その所に戦死者が多く、二万に及んだ。 そして戦いはあまねくその地のおもてに広がった。この日、森の滅ぼした者は、つるぎの滅ぼした者よりも多かった。 さてアブサロムはダビデの家来たちに行き会った。その時アブサロムは騾馬に乗っていたが、騾馬は大きいかしの木の、茂った枝の下を通ったので、アブサロムの頭がそのかしの木にかかって、彼は天地の間につりさがった。騾馬は彼を捨てて過ぎて行った。 ひとりの人がそれを見てヨアブに告げて言った、「わたしはアブサロムが、かしの木にかかっているのを見ました」。 ヨアブはそれを告げた人に言った、「あなたはそれを見たというのか。それなら、どうしてあなたは彼をその所で、地に撃ち落さなかったのか。わたしはあなたに銀十シケルと帯一筋を与えたであろうに」。 その人はヨアブに言った、「たといわたしの手に銀千シケルを受けても、手を出して王の子に敵することはしません。王はわれわれが聞いているところで、あなたとアビシャイとイッタイに、『わたしのため若者アブサロムを保護せよ』と命じられたからです。 もしわたしがそむいて彼の命をそこなったのであれば、何事も王に隠れることはありませんから、あなたはみずから立ってわたしを責められたでしょう」。 そこで、ヨアブは「こうしてあなたと共にとどまってはおられない」と言って、手に三筋の投げやりを取り、あのかしの木にかかって、なお生きているアブサロムの心臓にこれを突き通した。 ヨアブの武器を執る十人の若者たちは取り巻いて、アブサロムを撃ち殺した。 こうしてヨアブがラッパを吹いたので、民はイスラエルのあとを追うことをやめて帰った。ヨアブが民を引きとめたからである。 人々はアブサロムを取って、森の中の大きな穴に投げいれ、その上にひじょうに大きい石塚を積み上げた。そしてイスラエルはみなおのおのその天幕に逃げ帰った。 さてアブサロムは生きている間に、王の谷に自分のために一つの柱を建てた。それは彼が、「わたしは自分の名を伝える子がない」と思ったからである。彼はその柱に自分の名をつけた。その柱は今日までアブサロムの碑ととなえられている。 さてザドクの子アヒマアズは言った、「わたしは走って行って、主が王を敵の手から救い出されたおとずれを王に伝えましょう」。 ヨアブは彼に言った、「きょうは、おとずれを伝えてはならない。おとずれを伝えるのは、ほかの日にしなさい。きょうは王の子が死んだので、おとずれを伝えてはならない」。 ヨアブはクシびとに言った、「行って、あなたの見た事を王に告げなさい」。クシびとはヨアブに礼をして走って行った。 ザドクの子アヒマアズは重ねてヨアブに言った、「何事があろうとも、わたしにもクシびとのあとから走って行かせてください」。ヨアブは言った、「子よ、おとずれの報いを得られないのに、どうしてあなたは走って行こうとするのか」。