サムエル記Ⅰ 15:13-31

サムエル記Ⅰ 15:13-31 JCB

ようやくサムエルが捜し当てると、サウルは上機嫌であいさつしてきました。「これは、ようこそ。ご安心ください。主のご命令をすべて守りました。」 「なに? では、この聞こえてくる、メエメエ、モウモウという鳴き声はいったい何だ。」 「特上の羊や牛を殺してしまうのはもったいないと考え、あなたの神、主にささげるために連れて来たのです。ほかのものはいっさい殺しました。」 「黙りなさい! 昨夜、主が何とおっしゃったか教えよう。」 「何とおっしゃったのですか?」 「サウル。自分では取るに足りない者でいるつもりかもしれないが、いやしくもあなたは、イスラエルの王に任命された者ではないか。 主に何と命じられたか、忘れてはいないだろう。『罪人アマレクのすべてを滅ぼし尽くせ』と言われたのではなかったか。 それなのに、どうして従わなかったのだ。なぜ戦利品に飛びついて、主の命令に背いたのだ。」 「私としては、お従いしたつもりです。命令どおりにいたしました。アガグ王は連れて来ましたが、ほかのアマレク人は全員殺しました。 たまたまいた羊や牛や戦利品の最上のものを取り分け、主にいけにえとしてささげようとしたのは、民が言いだしたことです。」 サムエルは言いました。「主は、いくら焼き尽くすいけにえやその他のいけにえをささげたとしても、あなたが従順でなければ、少しもお喜びにはならない。従順は、いけにえよりはるかに尊いのだ。主は、あなたが雄羊の脂肪をささげるよりも、主の御声に耳を傾けるほうをお喜びになる。 反逆は占いの罪に等しく、不従順は偶像礼拝に等しい罪なのだ。もはや主のおことばを無視したからには、主もあなたを王位から退けることだろう。」 「ああ、私は罪を犯しました。言われるとおり、あなたの指図にも主の命令にも背きました。民を恐れて、言いなりになったのです。 どうか、この罪をお赦しください。主を礼拝するため、いっしょに行ってください。」 「今さら、むだなことだ! 主のご命令を退けたあなたを、主もイスラエルの王位から退けられたのだ。」 こう答えて引き返そうとするサムエルにとりすがったサウルは、そのはずみでサムエルの上着を破ってしまいました。 サムエルはサウルに言いました。「よく見るがよい。主は、今日、あなたからイスラエルの王国を取り上げて、さらにすぐれた人物にお渡しになった。 イスラエルの栄光そのものであるお方のことばに偽りはなく、心変わりもありえない。」 それでもサウルはとりすがりました。「私が間違っていました。しかし、どうか今、民と指導者たちとの前で私の面目をつぶさないでください。どうか、いっしょに行って、あなたの主を礼拝させてください。」 あまりの熱心さにサムエルもついに折れました。

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