シラ 30

30
子供の養育
1わが子を愛する者は、しばしば鞭で懲らしめる。
そうすれば晩年、子供は彼の喜びとなる。
2子をしつける親は、
その子のお陰で楽ができ、
知人の間で自慢ができる。
3わが子を教育する者は、敵にはねたまれても、
友人たちにはその子を誇りとすることができる。
4父親がこの世を去っても、
消えてしまったわけではない。
父親そっくりの子が、後に残っているからだ。
5父親は生きている間、わが子を見て喜び、
この世を去るときにも、悲しむことがない。
6敵に報復してくれる者を彼は後に残し、
友人に恩返ししてくれる者を後に残すのだ。
7子を甘やかす者は、傷の手当てに明け暮れ、
子がわめき叫ぶのを聞く度に、心を煩わす。
8馬は馴らさなければ手に負えなくなり、
子はしつけなければ、わがままになる。
9子供は、放任すればお前を驚きあわてさせ、
溺愛すれば、お前を嘆かせることになる。
10子供と一緒になって笑い興じるな。
さもないと、共に悲嘆に暮れることになり、
最後には、歯ぎしりをして後悔することになる。
11若いときには気ままなことをさせるな。
〔また、過ちを大目に見るな。
12若いときには、腰を低くさせよ。〕
子供のうちに体罰を与えよ。
さもないと強情になり、言うことを聞かなくなる。
〔また、彼はお前の心痛のもととなる。〕
13お前の子供をしつけ、子供のために苦労せよ。
さもないとその子は非行に走り、お前を困らせる。
健康
14貧しくても健康で体力のある方が、
裕福で病気に苦しんでいるよりはよい。
15健康で丈夫な体は、あらゆる黄金にまさり、
強じんな精神は、莫大な財産にまさる。
食べ物について
16体の健康にまさる富はなく、
心の喜びにまさる楽しみもない。
17つらい生活を送るよりは、死んだ方がよく、
長く患うよりは、永遠の安息の方がよい。
18食欲を失った者の前に、並べられたごちそうは、
墓に供えられた食べ物と同じである。
19偶像に供え物をしても無駄ではないか。
食べることもかぐこともできないのだから。
主に懲らしめられている者も、これと同じである。
20ごちそうを見ても、ため息をつくだけである。
若い娘を抱いて、ため息をつく宦官と同じだ。
〔強引に裁きを行う者もこれと同じである。〕
晴れやかな心
21悲しみに負けて気力を失うな。
あれこれ思い悩むことはない。
22朗らかな心は、人を生気にあふれさせ、
喜びは長寿をもたらす。
23気分を変えて心を奮い立たせ、
悲しみを遠くへ追い払え。
悲しみは多くの人を滅ぼした。
それは何の益にもならない。
24ねたみや、怒りは寿命を縮め、
思い煩いは人を老けさせる。
25快活な心は食欲を旺盛にし、
食べ物をおいしく味わわせる。

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