創世記 37:12-36

創世記 37:12-36 新共同訳

兄たちが出かけて行き、シケムで父の羊の群れを飼っていたとき、 イスラエルはヨセフに言った。 「兄さんたちはシケムで羊を飼っているはずだ。お前を彼らのところへやりたいのだが。」 「はい、分かりました」とヨセフが答えると、 更にこう言った。 「では、早速出かけて、兄さんたちが元気にやっているか、羊の群れも無事か見届けて、様子を知らせてくれないか。」 父はヨセフをヘブロンの谷から送り出した。ヨセフがシケムに着き、 野原をさまよっていると、一人の人に出会った。その人はヨセフに尋ねた。 「何を探しているのかね。」 「兄たちを探しているのです。どこで羊の群れを飼っているか教えてください。」 ヨセフがこう言うと、 その人は答えた。 「もうここをたってしまった。ドタンへ行こう、と言っていたのを聞いたが。」 ヨセフは兄たちの後を追って行き、ドタンで一行を見つけた。 兄たちは、はるか遠くの方にヨセフの姿を認めると、まだ近づいて来ないうちに、ヨセフを殺してしまおうとたくらみ、 相談した。 「おい、向こうから例の夢見るお方がやって来る。 さあ、今だ。あれを殺して、穴の一つに投げ込もう。後は、野獣に食われたと言えばよい。あれの夢がどうなるか、見てやろう。」 ルベンはこれを聞いて、ヨセフを彼らの手から助け出そうとして、言った。 「命まで取るのはよそう。」 ルベンは続けて言った。 「血を流してはならない。荒れ野のこの穴に投げ入れよう。手を下してはならない。」 ルベンは、ヨセフを彼らの手から助け出して、父のもとへ帰したかったのである。 ヨセフがやって来ると、兄たちはヨセフが着ていた着物、裾の長い晴れ着をはぎ取り、 彼を捕らえて、穴に投げ込んだ。その穴は空で水はなかった。 彼らはそれから、腰を下ろして食事を始めたが、ふと目を上げると、イシュマエル人の隊商がギレアドの方からやって来るのが見えた。らくだに樹脂、乳香、没薬を積んで、エジプトに下って行こうとしているところであった。 ユダは兄弟たちに言った。 「弟を殺して、その血を覆っても、何の得にもならない。 それより、あのイシュマエル人に売ろうではないか。弟に手をかけるのはよそう。あれだって、肉親の弟だから。」 兄弟たちは、これを聞き入れた。 ところが、その間にミディアン人の商人たちが通りかかって、ヨセフを穴から引き上げ、銀二十枚でイシュマエル人に売ったので、彼らはヨセフをエジプトに連れて行ってしまった。 ルベンが穴のところに戻ってみると、意外にも穴の中にヨセフはいなかった。ルベンは自分の衣を引き裂き、 兄弟たちのところへ帰り、「あの子がいない。わたしは、このわたしは、どうしたらいいのか」と言った。 兄弟たちはヨセフの着物を拾い上げ、雄山羊を殺してその血に着物を浸した。 彼らはそれから、裾の長い晴れ着を父のもとへ送り届け、「これを見つけましたが、あなたの息子の着物かどうか、お調べになってください」と言わせた。 父は、それを調べて言った。 「あの子の着物だ。野獣に食われたのだ。ああ、ヨセフはかみ裂かれてしまったのだ。」 ヤコブは自分の衣を引き裂き、粗布を腰にまとい、幾日もその子のために嘆き悲しんだ。 息子や娘たちが皆やって来て、慰めようとしたが、ヤコブは慰められることを拒んだ。 「ああ、わたしもあの子のところへ、嘆きながら陰府へ下って行こう。」 父はこう言って、ヨセフのために泣いた。 一方、メダンの人たちがエジプトへ売ったヨセフは、ファラオの宮廷の役人で、侍従長であったポティファルのものとなった。

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