創世記 24:31-67

創世記 24:31-67 新共同訳

そこで、ラバンは言った。 「おいでください。主に祝福されたお方。なぜ、町の外に立っておられるのですか。わたしが、お泊まりになる部屋もらくだの休む場所も整えました。」 その人は家に来て、らくだの鞍をはずした。らくだにはわらと餌が与えられ、その人と従者たちには足を洗う水が運ばれた。 やがて食事が前に並べられたが、その人は言った。「用件をお話しするまでは、食事をいただくわけにはまいりません。」「お話しください」とラバンが答えると、 その人は語り始めた。 「わたしはアブラハムの僕でございます。 主がわたしの主人を大層祝福され、羊や牛の群れ、金銀、男女の奴隷、らくだやろばなどをお与えになったので、主人は裕福になりました。 奥様のサラは、年をとっていましたのに、わたしの主人との間に男の子を産みました。その子にわたしの主人は全財産をお譲りになったのです。 主人はわたしに誓いを立てさせ、『あなたはわたしの息子の嫁を、わたしが今住んでいるカナンの土地の娘から選び取るな。 わたしの父の家、わたしの親族のところへ行って、息子の嫁を連れて来るように』と命じました。 わたしが主人に、『もしかすると、相手の女がわたしに従って来たくないと言うかもしれません』と申しますと、 主人は、『わたしは今まで主の導きに従って歩んできた。主は御使いを遣わしてお前に伴わせ、旅の目的をかなえてくださる。お前は、わたしの親族、父の家から息子のために嫁を連れて来ることができよう。 そのとき初めて、お前はわたしに対する誓いを解かれる。またもし、わたしの親族のところに行っても、娘をもらえない場合には、お前はこの誓いを解かれる』と言いました。 こういうわけで、わたしは、今日、泉の傍らにやって来て、祈っておりました。 『主人アブラハムの神、主よ。わたしがたどってきたこの旅の目的を、もしあなたが本当にかなえてくださるおつもりなら、 わたしは今、御覧のように、泉の傍らに立っていますから、どうか、おとめが水をくみにやって来るようになさってください。彼女に、あなたの水がめの水を少し飲ませてください、と頼んでみます。 どうぞお飲みください、らくだにも水をくんであげましょう、と彼女が答えましたなら、その娘こそ、主が主人の息子のためにお決めになった方であるといたします。』 わたしがまだ心に言い終わらないうちに、リベカさまが水がめを肩に載せて来られたではありませんか。そして、泉に下りて行き、水をおくみになりました。わたしが、『どうか、水を飲ませてください』と頼みますと、 リベカさまはすぐに水がめを肩から下ろして、『どうぞお飲みください。らくだにも飲ませてあげましょう』と答えてくださいました。わたしも飲み、らくだも飲ませていただいたのです。 『あなたは、どなたの娘さんですか』とお尋ねしたところ、『ナホルとミルカの子ベトエルの娘です』と答えられましたので、わたしは鼻輪を鼻に、腕輪を腕に着けて差し上げたのです。 わたしはひざまずいて主を伏し拝み、主人アブラハムの神、主をほめたたえました。主は、主人の子息のために、ほかならぬ主人の一族のお嬢さまを迎えることができるように、わたしの旅路をまことをもって導いてくださいました。 あなたがたが、今、わたしの主人に慈しみとまことを示してくださるおつもりならば、そうおっしゃってください。そうでなければ、そうとおっしゃってください。それによって、わたしは進退を決めたいと存じます。」 ラバンとベトエルは答えた。 「このことは主の御意志ですから、わたしどもが善し悪しを申すことはできません。 リベカはここにおります。どうぞお連れください。主がお決めになったとおり、御主人の御子息の妻になさってください。」 アブラハムの僕はこの言葉を聞くと、地に伏して主を拝した。 そして、金銀の装身具や衣装を取り出してリベカに贈り、その兄と母にも高価な品物を贈った。 僕と従者たちは酒食のもてなしを受け、そこに泊まった。 次の朝、皆が起きたとき、僕が、「主人のところへ帰らせてください」と言うと、 リベカの兄と母は、「娘をもうしばらく、十日ほど、わたしたちの手もとに置いて、それから行かせるようにしたいのです」と頼んだ。 しかし僕は言った。 「わたしを、お引き止めにならないでください。この旅の目的をかなえさせてくださったのは主なのですから。わたしを帰らせてください。主人のところへ参ります。」 「娘を呼んで、その口から聞いてみましょう」と彼らは言い、 リベカを呼んで、「お前はこの人と一緒に行きますか」と尋ねた。「はい、参ります」と彼女は答えた。 彼らは妹であるリベカとその乳母、アブラハムの僕とその従者たちを一緒に出立させることにし、 リベカを祝福して言った。 「わたしたちの妹よ あなたが幾千万の民となるように。 あなたの子孫が敵の門を勝ち取るように。」 リベカは、侍女たちと共に立ち上がり、らくだに乗り、その人の後ろに従った。僕はリベカを連れて行った。 イサクはネゲブ地方に住んでいた。そのころ、ベエル・ラハイ・ロイから帰ったところであった。 夕方暗くなるころ、野原を散策していた。目を上げて眺めると、らくだがやって来るのが見えた。 リベカも目を上げて眺め、イサクを見た。リベカはらくだから下り、 「野原を歩いて、わたしたちを迎えに来るあの人は誰ですか」と僕に尋ねた。「あの方がわたしの主人です」と僕が答えると、リベカはベールを取り出してかぶった。 僕は、自分が成し遂げたことをすべてイサクに報告した。 イサクは、母サラの天幕に彼女を案内した。彼はリベカを迎えて妻とした。イサクは、リベカを愛して、亡くなった母に代わる慰めを得た。